マスタリングは音源作りの最終段階

マスタリングの作業

2019年11月01日 12時59分

  • オーディオの修復
このステップでは、不要なノイズを取り除くなど、ミキシングまでの段階で発生した問題を修復します。また、オーディオを増幅することで際だってしまうノイズなども修正します。
 
  •  オーディオのバランス取り
オーディオの空間バランスを設定する作業がステレオエンハンスメントです。ステレオエンハンスメントは、より大きく、広がりのあるサウンドを実現するのに役立ちます。
 
  •  イコライザー
ミキシングでも活躍したイコライザーは、音質のアンバランスを解消し、欲しい要素を強調することが可能です。よくできたマスターは、バランスが取れています。これは特定の周波数範囲だけが突出していないことを表しています。バランスの取れたオーディオは、どの再生メディアにおいてもいいサウンドになります。
 
  •  コンプレッションコン
プレッションは、コンプレッサーによるエフェクトでダイナミックレンジを強化します。コンプレッションにより、全体的なオーディオの均一性と感触が向上します。コンプレッションは、各パートが分離しがちな隙間を埋めるはたらきをしてくれます。
 
  •  ラウドネス
リミッターと呼ばれる特殊なタイプのコンプレッサーがラウドネスです。リミッターは、全体的なラウドネスを設定します。リミッターを使用すると、歪みの原因となるクリッピングを抑えることができます。
 
  •  トランスファー
オーディオの転送プロセスは、大部分がデジタルオーディオファイルとしてハードドライブ内にあるため、近年、ひじょうにシンプルな作業になっています。以前はアナログファイルをデジタル化していましたが、このプロセス自体が、長年、マスタリングにおける弱点と指摘されていました。そのため近年では、デジタルファイルをアナログ変換してからマスタリングに入ることが、むしろ一般的になっています。
 
CDやダウンロードが可能な音源の場合、アナログコンプレッサーとイコライザーを使用して、アナログへの変換プロセス前に、アナログ・テープを最初に処理することができます。
 
転送の前にサンプルレート、ビットデプス、A/Dコンバータのクオリティー、そしてデジタルクロッキングソースのすべてが、完成音源の品質をベストに保つために慎重に設定されます。

 
  •  シーケンシングとスペーシング
シーケンシングとスペーシングは、マスタリングの最終ステップです。アルバムの制作では、このプロセスにてオーディオ全体がまとめられます。スペーシングは、曲と曲の間の長さを表します。
多くのマスタリングエンジニアは、CDの順番通りに曲をインポートします。転送されるメディアによっては、違う順番でインポートする場合もありますが、マスタリング・プログラムにインポートすると、特にレベルの処理や編集に関係なく、曲順の変更をすることができます。
 
古き良きレコードの時代は、曲順がひじょうに重要な要素でした。現在も重要なことに変わりはありませんが、レコードの場合はAB両面あるため、さらに重要度が高かったのです。レコードの場合は溝を切る必要があるため、各面の再生時間は音質に影響を与えます。溝を細かく切れば切るほど、レコーディングクオリティーは低下していきます。
 
CDオーディオのマスタリングでは、CD全体の流れに合わせて曲順を決定します。多くの音楽ファンが知っているように、多くの場合、強力なメインチューンを1曲目に持ってきます。ただ、必ずしもシングルカットされる楽曲ではありません。やはりアルバムを通して聴いた場合のバランスは重要なので、ヒットを狙えそうな曲だけをアルバムの始めに配置することはありません。
 
多くの音楽ファンがスマートフォンや音楽プレーヤーで音楽を聴く場合、DJよろしく、それぞれがお気に入りのプレイリストを持っています。やはり一貫性のある曲の流れを作り上げることが、魅力あるCDを仕上げる上で重要なことでしょう。
 
曲順同様に、曲間の長さは、完成音源の流れを決定づける大切な要素です。オーディオをマスタリングする場合、オーディオプロデューサーとアーティストは、次の曲がナチュラルに始まるタイミングを、主に曲調を中心に考え、設定します。ハードでハイテンポなトラックの後に軽めのトラックが来る場合は、少し間を長めにとった方が効果的かもしれません。
 
これは演出効果ですから、一概にどれが正しいと言うことはありません。ただ、オーディオプロデューサーもアーティストも、ベストなアルバムを作るために、一番気持ちが入るマスタリングプロセスが、曲順や曲間の長さの設定と言った作業でしょう。